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熟年離婚とは、長年連れ添った夫婦が離婚する場合、または、老年に達した夫婦が夫の退職を機に離婚する場合などを指して使われる言葉です。「団塊の世代」と呼ばれ、仕事一筋に生きてきた夫が一斉に退職し始めた2007年頃から社会現象として取り上げられるようになりました。
厚生労働省の統計資料を参考にしますと、夫が60歳以上の夫婦の離婚件数は19,000件前後、妻が60歳以上の夫婦の離婚件数は、11,000件前後となっております。熟年離婚の定義にもよりますが、実に、毎日30組以上が熟年離婚している計算になります。
熟年離婚の主な原因は、「夫が家庭を顧みない」「性格の不一致」「夫が妻を女性として見ない」 など、通常の離婚とほぼ同じものもありますが、「夫に趣味がない」 「夫が妻を頼りすぎる」「夫の親の介護(老老介護)に疲れた」といった熟年夫婦に特有の原因や、「主人在宅ストレス症候群」という熟年夫婦特有の病気もあります。
熟年離婚に特有の問題として、長年のストレスの積み重ねが離婚原因となっている場合に、裁判手続きにおいてその立証が困難であるという問題があります。また、調停や裁判手続きが長引くと、その間の生活費の不安が生じてきます。
熟年離婚を円滑に進めるために、虎ノ門法律経済事務所からの3つのアドバイスをいたします。
1.日記をつける
裁判離婚を有利に進めることは、慰謝料の算定にも影響してきます。日々の不満や、夫の帰責事由を日記につけるなどして、証拠として残しておくとよいでしょう。
2.周囲に協力を求める
子どもや友人など、周囲に理解者・協力者がいることは大変心強いことです。特に周囲に離婚経験者がいれば、離婚後の就職や生活についてアドバイスを求めることができます。
3.夫婦の財産を調べておく
夫婦の財産は2人で築いてきたものです。熟年夫婦であればあるほど、離婚に伴う財産分与・慰謝料が多額になる可能性があります。そこで、夫の退職金その他の財産について、徹底的に調べておくことをお薦めします。
平成19年4月から年金分割制度がスタートしました。これは、離婚時に、厚生年金または共済年金の分割を請求して、被保険者(夫)が加入していた期間の標準報酬額の5割を自己の年金として受け取れる制度です。
年金分割の請求は離婚した日の翌日から2年以内に行う必要があります。これにより、離婚に伴う夫婦間の不平等は少し解消されることになります。 もっとも、年金制度は非常に複雑なため、「年金分割制度を当てにして離婚したが、実は受給資格がなかった…」などという場合もあります。一度、日本年金機構や弁護士に相談することをお勧めします。
夫が20年以上厚生年金又は共済年金に加入していた場合で、加給年金を受けていた場合は、妻が65歳になると、加給年金は振替加算として、妻の年金として一生支給されます。 振替加算が行われるためには、妻が大正15年4月2日から昭和41年4月1日生まれであること、妻自身が20年以上の厚生年金を受け取っていないこと、障害年金を受け取っていないことなど、様々な条件がありますが、離婚との関係では、以下の点が重要です。
・65歳前に離婚した場合は、振替加算は行われないこと
振替加算は妻に老齢基礎年金が支給される65歳に行われます。したがって、65歳前に離婚した場合は、振替加算は行われません。振替加算は、一生涯支給されるものなので、離婚後の生活費が心配な方はこの点も考慮に入れておくとよいかもしれません。
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